「子どもかよ」
「あたし・・怖いの・・。このままずっと・・目が見えなかったら・・何も分かんなくて・・。いつかは・・顔さえも忘れちゃいそうで・・」
「大丈夫だよ、笹野なら。何回忘れても俺らは何回も会いに来てやる。忘れて不安なら、ずっとそばに居る。それならお前も安心すっだろ?」
多分、倉井君は笑っただろう。
「本当は・・智美とも笑い合いたい・・・。智美がね・・?休みに遊びに行こうって言ってくれたの・・。でも・・あたしはこんなんだから・・。誰かの手を借りなきゃいけないから・・。普通じゃいられないの・・・」
「だからなんだよ?笹野は笹野だろ。それ以上でもそれ以下でもねえだろ。そりゃ周りからは変な目で見られるよ。変なこと言われるよ。けど、俺が守るよ。そいつら全部ぶん殴るよ」
「・・あはは・・。ありがと・・」
「笹野の好きな奴って誰?」
「・・なんで?」
「や・・。何でもない」
「倉井君は?」
「いやー・・普通に分かるだろ・・」
「え?」
何か言った?
「笹野、俺と付き合ってくんねえ?」
「・・はい?」
え、聞き間違い?
今付き合ってって聞こえたんだけど?
ついには耳までダメになっちゃったの?あたし。
「だから、俺と付き合ってよ」
「そ・・空耳かと思った・・・」
「やっぱり」
クスクスと笑う倉井君。

