きみのうた



「璃乃ー!夏休みだよー!」

休み好きの智美が家に来る。

「分かってるって。本当に休み好きやね~」

「もちろん!だって休みなんだよ~♪」

そう言って嬉しそうに鼻歌を歌い始めた。

ダメだ・・・。

自分の世界に入っていっちゃったよ・・・。

「璃乃~、休みどっか行かない~?」

「・・・」

行けるわけない、こんな姿じゃ。

「璃乃、自分1人だけとか思わないでよ」

「え・・?」

「璃乃みたいに苦しんでる人はたくさん居るよ。そういう人だって今を楽しく暮らしてるじゃん。だから璃乃も楽しく遊ぼうよ」

「・・智美に何が分かるの?」

「何も分からないけど・・。でも・・っ」

「口先のことなんか言わないでよ。分かんないよ、目が見えない人の気持ちなんて」

「璃乃・・・」

「もう帰って。もう来ないでよ」

「・・分かった・・」

パタン・・

部屋のドアが静かに閉じた。

智美・・・。

ごめんね・・・。

目から涙がどんどんと出てくる。