きみのうた



「あ、今日は違う友達も一緒なの!ほら、覚えてる?鈴木紗綾」

「あぁ、うん。紗綾ちゃん、でしょ?」

「うん!紗綾、おいで」

「璃乃、久しぶり」

懐かしい、紗綾ちゃんの声。

「久しぶり!えへへ、目が見えなくてごめんね。紗綾ちゃんは高校、どこ行ったっけ?」

「南第一だよ!高校では、吹奏楽部入ってるんだ!」

「すごいじゃん!」

「璃乃、ごめん。あたし達、今日バイトでさ。今日は先帰るね」

「ごめんな、笹野」

「ううん、ありがとね。気を付けて帰ってね」

「また明日ね」

倉井君と智美は先に帰って行った。

「璃乃は彼氏出来たの?」

ふつうの女の子の会話。

「ううん!紗綾ちゃんは?」

「居るんだっ!」

すごい嬉しそうな紗綾ちゃんの声。

「本当!?羨ましいー!誰、誰!?」

「同じ中学の、小山暁って居たじゃん?」

「あ、サッカー部の!?」

「うん!」

普通に、ごく普通の会話。

でも違うのは、あたしの目が見えないこと。