きみのうた



「あたし、どうして落ちたの?」

「え?知らないよ!」

「じゃあどうしてあたしはここに?」

「璃乃、ベランダから落ちたんだよ。あたしがご飯食べ終わってからベランダ見たら誰も居ないし。下覗いたら倉井が璃乃を受け止めてて。もう泣いたよ。泣いて叫んでも璃乃は全然目、覚まさないし」

「そうなんだ」

じゃああの声はいったい誰?

誰の声だったの?

「璃乃、今日はゆっくり寝なよ?あたし、毎日来るからね!」

「うん、ありがと」

でも、何回来ても、結局は変わらなかった。

『あたしの目は見えない』

何をしても、何も聞いても、何を話しても

これだけは変わらなかった。

「璃乃、これ見て!」

「・・・」

「ごめん・・・」

智美が謝る。

何を謝るの?

智美は悪くないのに。

そう言おうとしても全然違うことを言って、

「もう・・ほっといてよ!」

誰かを傷つけた。