きみのうた



お母さん達が戻って来た。

「え・・・?」

今・・なんて言った・・・?

「璃乃は・・もう目は見えないの・・・」

「嘘・・でしょ・・?」

もう・・目が見えない・・・?

智美が・・倉井君が・・見えないってこと・・?

「なんで・・?やだよ・・・」

「璃乃が落ちた時奇跡的に命は、声帯は残った。でも、それを守る代わりに視力が完全に消えたんだ。もう二度と、視力は戻らないそうだ」

「嘘・・。そんなの・・嫌だよ・・」

「璃乃ちん!」

息を切らした智美の声。

「智美・・?」

やっぱり何も見えない。

「璃乃・・大丈夫・・?」

「智美・・初めて璃乃って呼んだね・・」

「うん・・っ」

智美があたしの手を強く握る。

「佐々野、夏帆に会ったか?」

「うん。びんたしてやった。超驚いた顔してさ。笑ってやったわ」

「そうか。じゃあ俺、行ってくるわ」

「行ってらっしゃい」

智美が倉井君を送り出す。

「璃乃、大丈夫?クラスのみんな、心配してたよ」

「そう。大丈夫」