きみのうた



「璃乃ちん!何処に行ってたの!?探したよ!!」

珍しくあたしが屋上行くと智美が涙目であたしにしがみついた。

「あはは。ごめんね。お腹痛くて家まで薬取りに行ってたあ」

苦し紛れの言い訳。

「もー、授業中に電話したら鞄の中で鳴ってるし。超焦ったよ」

「授業中に電話するからだよ~」

笑いながらフェンスに近付いてフェンスを揺らす。

「璃乃ちん、ほっぺ血が出てる。何処で転んだの?」

「あはは」

ほっぺを触るとちょっと痛かった。

「はい、絆創膏」

「ありがと」

友美から絆創膏を貰ってほっぺに貼る。

「倉井も授業放り出してどっか行っちゃうし。どうしたんだって言うのー」

「あたし、会ったよ。先輩と話してたけど」

まあ事実だし、嘘は言ってないよね?

「まじで~?倉井も佐藤先輩もまだ想いあってるらしいよ」

「ふーん・・」

「でも佐藤先輩が浮気したって噂が結構前から流れてて。倉井も気にしてたんじゃないかな?それで佐藤先輩が別れを切り出して。お互いツラいだろうね~」

「・・興味ないし」

フェンスから離れた。

運動場を横断してる倉井君と目が合ったから。

「友美、午後からの授業抜けない?」

「えー?また先生に怒られる~」

「そ。じゃああたし、昼から抜けるから。明日ノート見せてね」

「璃乃ちんは頭いーから羨ましいよっ!」