時を分かつ

「彼氏とデート?」

「はい。」

「良いわね。

私のお相手はデートになんか絶対に誘ってくれないわ。」

「私の彼もそうですよ。

でも、今日は初めてあっちから誘ってくれたんです。」

「そう…だったの。

残念ね。」

「いえ、誘ってくれただけで死ぬほど嬉しかったです。

まさか、本当に死んじゃうなんて思ってなかったけど…


……。

満足なんかできないよ。

誘ってくれただけじゃ、やだよ!

もっと、したい事も、してほしい事も、

ねぇ、こんな事で死なないでよ!

私はちゃんとここにいるんだから!

だから、死なないでよ!

死なないで!



…お願い…だから、死なないでよ、私…」


「…諦めろとは言いたくないけど、時間の問題よ。」


「……。

私は信じません。」

「何を?」

「貴女の言う未来をです。」

「どうして?」

「私の彼氏は馬鹿でアホで間抜けで適当でいい加減な無神経で、

職もないくせに、不器用なくせに、

デートだといつも、おごってくれたり、プレゼントしてくれたり、

周りからはどうしようもない人間って思われてるけど…

本当は、凄くて、」

「でも、貴女は死ぬ。

彼氏は関係ないわ。」

「彼は!

…コウダイは、

いつも、何があっても、何とかしてくれるから!

私は貴女の言う未来を信じないです。

コウダイを信じてるから!」