「あれ?

あそこにいるのは私?

じゃあ、私は幽霊?」

…。

「体がない。

幽霊ってこんな感じなのかな?


どうしよう。

私、死んじゃった。

…、どうしよう。

…どう…しよう。」

…。

「涙くらい出してよ!

何で死んだのよ!

死にたくない!

誰か!

お願い!

誰か!」

声ではない感覚が悲鳴を生み出す。

「まだ、死んでないわ。」

「誰?

私が見えるの?」

「私は神様ってところかな。」

「神様?

お願い!神様、私を助けて!」

「安心しなさい。

貴女はまだ死んでないわ。」

「え?」

「貴女は意思として存在しているの。」

「意思?」

「周りを見なさい。

いえ、正確には感じなさい、が正しいのかしら。


時間が止まっているでしょ?


貴女は今、世界という理から外れた存在。」

「じゃあ、助かるの?」

「残念だけど貴女は死ぬわ。」

「え?」

「私には予知能力があるのよ。

神様だから。

車を轢いた人は錯乱して、取り乱す。


周りの人は誰かが救急車をすでに呼んだと思っている。


だから、助けは来ないし、ここから病院までの間に貴女は手遅れになるわ。

直に貴女の時間が動き出すわ。」
「私、死んじゃうんだ。


ごめんね?

私、せっかく誘ってくれたデート行けないみたい。

ごめんね。」