「香織―― これ忘れていったぞ」 優兄が私の教室の前で私のお弁当を持って呼んでいる。 「あっ、優兄!! ありがとう」 「まったく、 お前は本当に慌ただしいんだから」 「「きゃー」」 クラスの女の子達がみんな騒いでいる。 中には頬を赤らめて、 優兄を見つめている人もいる――― 「じゃあ、俺は行くよ」 「うん、優兄ありがとうね」 優兄は軽く手をあげて自分の教室へと戻っていった。