俺は思えば昔から、香織に特別な想いを抱いていたのかもしれない―――



でも、俺がこの気持ちに気付いたのはつい数日前。



たまたま香織の教室の前を通った時のことだ。





「ねぇねぇ、香織ちゃん。アドレス教えてよ」



「でも私先輩のことあまり知らないので……」



「いいじゃん。メールで仲良くなればさぁ」


あれは、俺と同じクラスの……
確か前田龍也?


あいつ、香織が嫌がってるじゃねぇかよ。


俺があいつを香織から離そうとした時――――


キーンコーンカーンコーン……―――


昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。


「あーあ、鳴っちゃったよ。じゃあ香織ちゃんまたね」


その光景を見た瞬間、どうしてか俺は少し淋しさを感じたんだ。