「高校は補習ってものがあるからなー。しっかり勉強しないと大変な目にあうぞ?」


そういたずらっぽく笑う桜さとる。


はー、よりによって苦手な数学の教師がこの人か。


高校で頑張って好きになろうと思ってたけど、この人といるといらいらするから到底好きになれなそう。


なんて思っていると、高校に着いた。


「ここ」


私が言うと、おーちゃんと着いたわ。と言う桜さとる。


…どういう意味よ。


「じゃあ私行くから」


そう言って立ち去ろうとした瞬間、ぐいっと腕を捕まれて体制を崩す。


そして小さく耳元で囁かれた。



「きちんと先生には敬語を使わなきゃだめだよ?」


その言葉が凄く優しくて、なんだか甘かったから、不覚にも胸がどきんと跳ねてしまった。