◇◆◇◆ 「うー、寒い」 外に出ると空はオレンジからうすい紫に変わろうとしていて、冷たい風が肌を突き刺した。 あたしは、寒いのが苦手。 寒いとすぐに鼻が真っ赤になる。 「お前、鼻真っ赤だぞ」 「うるさーい。仕方ないじゃん、寒いんだから」 「ふっ、アカネは昔から寒いの嫌いだもんなぁ」 凌央は『ふっ』って笑う。 その時の優しい顔があたしは好き。 馬鹿にしたような笑い方かもしれないけど、すごく好き。 凌央が笑うと、胸が柔らかく波打つんだ。