雪・時々晴れ

彼の家はスキー場から小一時間位来た道を戻った集落に在った。


駐車場は一本小路をはさんだ納屋のような建物の中だった。


一方には民家がぽつぽつ並んでいるがもう一方に目を向けると畑と田んぼが1キロ以上先まで広がっていた。


「のどか~!」


「君!静かにね…」


「あ、はい…」


《ガラガラ》


引き戸から玄関に入ると目の前にはいきなりじいちゃんのいる居間があった。


「お邪魔します」


「佐伯さんっていうんさ」


「始めまして佐伯です。急にお邪魔してすみません」


「何もね~けどぉどうぞ」


「あ、はい。上がらせて頂きます。」


「おれら部屋にあがってっからな」


「おー」


おじいちゃんは小田君が女の子を連れて来る事に慣れてる風に見えた。私は彼女ではないけれど、おじいちゃんはどう思ったのだろうか。


「ちょっと、トイレ行きたいねんけど」


「あ廊下の突き当たり」


「おれ、二階に行ってるからな、階段の横の部屋は開かずの間だからな」


「なんで怖がらせるん…」
(まぁ解ったよ開けるなってことやな)


トイレは汲取り式だったけど、うちの田舎もそうだったので何も嫌ではなかった。


古そうな家だけど、大きくてきれいだった。


二階へ上がって小田君の部屋らしきドアの開いているところに入っていった。


柑橘系のコロンっぽい香りがした。


灯油のヒーターがついていて、小田君はコタツに入って居て


「座ってコタツ入りな」と言った。