雪・時々晴れ

時間は午後3時を回ったところだった。


車の中は太陽の光と暖房で暖かかった。


「あんな…君と会う時って、いつも晴れやねん。」


小田君が私のことをたまに君って呼ぶから私も小田君を君って呼ぶことにした。


「そーだっけ?」


「うん。凄くない?ずーッと雪か曇りばっかりやのに会う日だけ晴れるねんで~!」


「へ~凄いの?」


「凄いの!運命の人なんやできっと」


「…そっか?」


どう思われたかは解らなかったけれど、これでも前向きに恋をしているのだ。そしてマユちゃんには悪いけど、こんなに好きになってしまったらもう引く事なんて出来ないと思った。


彼女もきっと頑張っているだろうけど、彼女に負けるって事は絶望しか残っていないのだから負けるわけには行かなかった。


そう思うと先週の日曜日に何があったか気になってしょうがなくて聞いてみた。


「マユちゃん、どうしてた?」


「ん?…元気ないね…」


「マユちゃんになんて言うたん?」


「何か…生意気な女が俺の事好きだって言ってたよって」


「何で生意気なん!」


「なんとなく…」


「それで?会わないことになったの?」


「そんなに簡単にはいかないよ…色々ドロドロだよ」


「そっか…そりゃそうか…」
(色々?)


「俺、簡単に好きとかいえないんさ…だからしょうたろうが、こんな俺でも良いと思ってくれるんならこれからも会いたいな」


「会いたいよ…。私も。」


キスしておいてずるいとは思わなかった。


いっそ、その先に進みたかった。


「これからどうする?」


小田君は私の太ももに目線をやった。


彼も私の様な理由では無いだろうが男としてこの先に進みたい気持ちがあるように思えた。それでも良いと思った。


「う~ん。君んち見てみたいな~」


「俺んち?来る?」


「うん」