隣同士に並んで二人でタバコを吸いながら、この場所で高校時代、ラグビー部の先輩にスパルタ教育された話を聞いた。


「俺なんてさスキーやったこと無いのにさ、怖いのか小田!とか言われて悔しかったから必死で克服したんだからな」


「めっちゃ体育会系やな…」


「嫌なんか?」


「んーん。頑張るけど、上級コース怖すぎるな…」


「フッ、じゃあ午前中はあと一回だけ頑張りな…」


「うん…景色、めっちゃキレイのに楽しんで滑られへんの悔しいしな…」


ひざを抱えて小田君の顔を見た。


「偉いな。しょうたろうは。俺の事ちょっと嫌いになった?」


「全然。益々好きになったかも!」


小田君はニコッと微笑んで「おいで」と言って私の腕をつかんで自分の方へ向かせて私の冷たくなった唇にキスをした。


突然のことにビックリしたげれど小田君のやさしくて暖かいキスに心はわし掴みにされた。


少し長めのディープキスだった。


凄く近くで見つめるから…寒さで白い吐息が顔にかかると思い息を止めた。


「じゃあこれ滑ったらご飯食べよっか」


と言った小田君にホッとして「うん!」と言った。









昼食後は少し上達したように思えた。


だけどあまり一緒には滑れなくて何時か並んで滑れる様になりたいと思った。


「疲れたか…?」


「うん。」


「そろそろ引き上げるか…」


「そーだね」


着替えて帰り道を車まで歩いていると小田君が私の背中に負ぶさってきた。


「ちょー重いー!!!こけるぅ」


「足腰よえーな」


背中から飛び降りて笑っていた。


(こんな風にされたらどんどん好きになるってば…)