スキー場までの道程は2時間程だった。


好きな音楽やスポーツの話をしたり、小田君を観察する事であっという間に過ぎていった。


「朝飯食う人?」


「んーん。食べない」


「俺、食う人なんだけど…じゃあいっか」


「あ、そーなんや。食べておいでよ」


「一人で食べてもなぁ~」


「う~ん。私無理に食べたくないしなぁ…今からスパルタ教育が始まるねんろ?多分食べたら気分悪くなるはず…もう既に緊張で胸がいっぱいやし」


「そうだな。じゃあ何本か滑って早めに昼飯にするか!」


「うん」


私は申し訳なくていつか朝ごはんを食べられる人になろうと思った。


着替えも済みいよいよリフトで頂上を目指した。


「あれウサギの足跡だよ」


「へ~ウサギ見たいな~」


二人がけのリフトに乗っていると自分が小田君の特別な存在になったような気になった。


ついに頂上へ着いた。


彼は私を置いて10メートルほど滑り降りた。


「え~置いていくの~?」


「行くぞ」


「え~こわいー!何この角度!」


「じゃーな」


「え~待ってよ~」


私は覚悟を決めて滑り降りた。


「キャー」


ゆっくりだが追いついた。


「何、女の子みたいな声出して…」


「女の子やん!」


「もっと、こうエッジ立てて回ってみ」


「うぇ~ん」


「じゃーな」


また置いていかれた。