そんなこともあったからなのか、数日後、渡辺さんと加藤さんはあっという間にマユちゃんと仲良くなっていた。


悪口を聞かないで済むと思えばせいせいする。


会社で一人ぼっちになることに恐怖心は無かった。


あからさまに陰口言ってるんじゃないかと思う様なことも有ったが構わなかった。


マユちゃんと小田君が会う予定の日曜日も過ぎてしまったし、きっともう小田君が私との事を全てマユちゃんに話して知ってしまったのだろうと感じた。


マユちゃんが一人ぼっちになるよりも私が一人ぼっちになるほうが気が楽だった。


人が聞けば小田君に横恋慕して上からものを言っているように思うかもしれないけれど、何か報いが有ったほうが思い切り小田君を好きになれるから気が楽だと言った方が正しいのかもしれない。


実際は二人の関係は知らなかった訳だが、後で知った事でも結果的に横恋慕だろうし。


そんな自分に十字架を背負うような、罪を償う様な、自己満足の日が続いた。


マユちゃんは渡辺さんと加藤さんと一緒に居るだけで、特にイヤミを言ったりする様な子では無かった。


ただ話さなくなり、たまたま渡辺さんと加藤さんに気に入られただけの事だ。


小田君との事や私との事も彼女達には言ってないと思った。そんな女の子ではないはずだから。


マユちゃんと遊べなくなることは凄く寂しかった。


でもどうせ皆、彼氏が出来たら彼氏優先になって行くはずだ。


一生涯付き合う友達は学生時代にしか作れないのではないだろうか…友達の少ない私にはそんな考えしか浮かばなかった。


時々、澤村さんや長谷部さんが話しかけてくれるし、浜田チーフも一匹狼の様な人だし、
自分も一匹狼で良いと思えた。


偶然なのか何なのか、今年から坂井課長が転勤になりデザイン室での業務は中止となっていた。


何もかもが小田君と仲良くなる為の神様のお膳立てのようにも思えた。


約束のスキーへ行く日は目前に迫っていた。


こんなにもデートの前日がドキドキするものなのかと自分でも不思議だった。


今までに付き合った人は何人か居たけれど感じた事の無い感情だった。