雪・時々晴れ

「で?どうなの?」


「何が?」


「本気なの?」


「…最初は友達になりたいと思ってて…」


「じゃあ友達でいいじゃん」
ニコっと微笑んだ。


「嫌や!そんなんもう無理になってん…話してたら楽しいし…彼女みたいな人のことも彼女じゃなかったら何なん?って気になるし…ホンマに好きになってしまった。だから彼女みたいな人のこと大事やったら私もう諦めるし…」


「ふ~ん。じゃあさ、メシ食ったら話すわ」


「…うん」


カウンターの席で良かった。テーブルで真正面に座っていたらご飯なんて喉を通らないところだった。


食堂で告白させられるとは…


しかし、この気取りの無さがますます良いと思えた。


ヒレカツ丼を目の前にしたらお腹がすいた事を自覚した。


「美味いだろ?」


「うん」


食堂での会話はそれだけだった。


小田君は食事の時は無口な人だった。


代金は支払ってくれたので車に乗ってから自分の分を渡そうとしたら「いい」と言われた。


「ありがとう。ご馳走様」


「ちょっとドライブしようか」


「どこに…?」


「ないしょー」


「えーどこやろ?」


車は街から離れて行き木々の合間にポツン、ポツンと民家があるような道を走っていた。


CDの音量は下げたままの車内で私は外の景色を見ていた。


小田君はタバコ吸いたいから一本ずつだけ吸おうかと言った。