雪・時々晴れ

嬉しいのとドキドキが胸を満たしていた。


いい気分のまま部屋へ辿り着きベッドにダイブしてそのまま寝てしまった。


翌日は会社も休みに入ったこともあり遅めの起床。


テーブルの前に座ってタバコをふかしていると飼っている猫が部屋へ入ってきてゴロゴロと喉を鳴らしているので頭を撫でた後


「お前も嬉しいんか?」っと言ってみた。


廊下では掃除機の音がうるさかったので部屋から顔を覗かせると母さんが「早く掃除してや!」と怒鳴る。


「はいはい」


母さんはイラッとした口調で
「階段はあんたがしいや!あんたの部屋から埃が落ちて来るんやから!私お父さんと買い物行くから他も全部掃除しといてや!」


「え~全部かい!まーいいけど」


「ほんじゃ頼んだで」


買い物に出かけた両親の居ない間に一気に掃除を済ませ一服しながら小田君と何を話そうか考えていた。


(晩に電話するって言うたんやったな…アバウトやな…何時にしよう)


そうこうしているうちに両親が帰宅して晩御飯の準備が始まり、手伝いをしながら何時ごろ部屋に戻るか考えていた。


食事が終っていつもはしない食器洗いをして両親がテレビに夢中になっている隙に部屋へダッシュ。


(早く電話せな、でも何て言おう…あ~もう取りあえず掛けたらいいかっ)


小田君に貰った名刺をとりだしてドキドキしながらボタンを押した。


《プルルルル…プルルルル…プルルルル…プルルルル…ガチャ》


「あ~もすもす~」


(あれ?だれや?じいちゃん?)
「あ、夜分遅くにすみません。佐伯というものですが小田君おられますか?」


「えー?なんだってー?」


「あっあの、佐伯といいますが小田君おられますか?」


「あー真彦かぁー待ってけろ」


「はい…」


電話の向こうではじいちゃんらしき人が小田君を呼ぶ声がする。


保留もせず…一部始終が丸聞こえですぐそこに小田君が近づいて来たのが解った。