雪・時々晴れ

(やっぱり楽しい人や)


冷たい空気で少し酔いが覚めてきた。


改めてさっきの行動を思い返すと恥ずかしくて黙っていた。


(小田君も困って喋らへんのかな?)


私はわざとはしゃいでみた。


雪を蹴散らして


「ほら!雪こんなにあるで!」


「犬か!」


「もー犬とか禁句やで。」


「何で?」


「内緒。あっ嘘。猫派やねん私。」


「へぇ~俺は犬も猫も好きだな。」


「へぇ~」
(動物が好きな人で良かった)


だんだん会社が近づいてきた。


「なぁ…電話してもいい?」


「いつ?」


「今日はもう遅いし明日の晩とか」


「いいよ…」


(よっしゃ~!)


心でガッツポーズをとったものの


(あの抱きついた行動の言い訳せな友達になりにくいやん…)


(私の酔っ払いめ~!)


坂井さんのこともあった為、軽々しく行動しないようにしていた筈がいきなりのピンチに落ちている自分が居た。


(明日、なんて言えばいいんや…)


考えてるうちに会社の前まで来ていた。


「じゃあ」


「家まで送るよ?」


「いいよいいよめっちゃ近いし。見えてるし。あれ私の家。」


「そーなんだ。いいなー近くて」


「うん…車、乗って大丈夫なん?」


「俺は最初に一杯飲んだだけだから…全然平気だよ」


「ふーん。じゃあ気付けて帰り~な」


「これ電話番号」


小田君は自分の名刺の裏に番号を書いて渡してくれた。


「うん。ありがとう」


「んじゃあ、バイバイ」


「うん。バイバイ」


彼は工場の裏の駐車場に消えていった。