雪・時々晴れ

私は居酒屋の大きなスリッパを履いてトイレに行った後小田君を探した。


2階に降りるとゲームセンターがあり中へ入ると小田君と菅原君がバスケットボールゲームで遊んでいた。


「こんな所におったんや…」


「オイラ達もう帰ろうと思って。つまんないし、菅原は用事あるしさ…」


「用事?こんな時間に?あっ彼女?」


「さ~ね~♪」


菅原君の事はどうでも良かった。


きっと澤村さんのことは諦めて別で彼女が出来たのだろう。


私は小田君の顔を見てホッとした。


きっと気持ち悪い顔で小田君を見ていたのだろう…彼は言った。


「酔っ払いだな~フラフラじゃん」


「そうかな?」


菅原君が私に気を使ったのか遠慮したのか彼女が待っているのかは知らないが
「じゃ帰るね」とさっさと行ってしまった。


「じゃ俺も帰ろー」


「え~じゃあ私も帰るー」


「俺、会社まで歩きだよ」


「いいよ一緒に行く。私の家、会社のすぐ横やし」


「そのスリッパで?」


「あははっほんまや~!靴に履き替えてくるから待ってて。皆にも帰るって言って来る」


「1階に行ってるからな」


慌てて3階に戻り、皆に挨拶をして靴に履き替え下りて行った。


「はぁはぁ」


「ぷっ…そんな走ったら酔いが回るんじゃない?」


(笑われてしまったけど楽しいからいいや。きっと顔も真っ赤なんやろうなぁ。恥ずかしいなぁ。)


雪が積もった夜道を二人は歩き出した。
街頭の明かりが少なくて良く顔が見えなくて…不安になった。


別れたり振られたり短い間に色々有りすぎたから、泣きそうになった。


私は小田君の腕を掴んで自分の方へ向かせて抱きついて言った。
「私を守ってよ」と。


小田君はどんな顔をしていたのだろう…何分くらいだろう軽く私を抱きしめた後、肩をつかんで体を離して
「転んで頭でも打ったか?」と言った。