雪・時々晴れ

-クリスマス-


約束の4人で出掛ける日が来た。


長谷部さんと私は制服を着替えて事業所からメンテナンス部のある工場へと歩いて向かった。


ウキウキの長谷部さんをよそに


(えーっと、セリフは《ハイラックスサーフに乗ってみたいなぁ~》やったな。よし!)


私は真剣に練習していた。


自分でも呆れるほどのお膳立て師だ。


楽しい事のためにはエネルギーを思う存分発揮するのだ。







しばらくすると工場から小田君達は出てきた。


私は素早く駆け寄り例のセリフを言った。


「ハイラックスサーフに乗ってみたいなぁ~」


菅原君が助けを求めるように小田君の顔を見た。


小田君は促すように駐車場へ歩き出し、ハイラックスサーフを前にして顎で指図した。


全て無言で「お前の車で行くぞ」を表現していた。


4人が車に乗り込むと会話は始まった。


「ねぇどこへ食べに連れて行ってくれるのかな?」


長谷部さんが小声で私に聞いた。


「さぁ…?」
私は後部座席から前の2人に
「ねえねえ!どこ行くの?」と尋ねた。


「着いてからのお楽しみ。」


「だって。」


長谷部さんはウキウキ顔が止まらないでいた。
〔となりのトトロ〕に出てくるメイちゃんみたいな顔になっていた。


菅原君は大人しそうな男の子に見えたが実は高校時代はヤンキーだったらしく、そんな話をしていると佐伯部長の過去はかなりヤンチャなはずだという話になり、菅原君は物まねをしだした。


「そやけど、アレやな」


その物まねが似すぎていて私一人が大笑いしていた。