よりによってハリ先上松に目なんか付けられたらお終いだぁ~
心の中で私は奇声を上げた。
それに気付いたのか、湧さまは、軽く笑いながら
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。俺が説明しておいたし。」
そんなぁ・・・ハリ先上松には通用しない。間では≪日本語が分からないハリ先上松≫と言われるほどだ、人の話を聞き入れるような人間構成ではない。
「あっごめん」
え?ふと湧さまが≪ごめん≫と口にした。壁を見つめていた私は湧さまの顔を≪なんで、ごめん・・・なの?≫と思い覗き込んだ。
「紹介忘れてた。俺、亀梨 湧也。」
――――。亀梨 湧也・・・。カッコいい名前?
分かんないや。でもなんかしっくりくるなぁ・・・・。――――――――
「亀梨 湧也??」
私はキョトンとした顔で聞いた。
「うん、亀梨 湧也。俺、湧さまって呼ばれんの、好きじゃねーんだよなぁ・・・・・。だから普通に≪湧≫でいいよ」
と軽く笑った。湧さま・・・いや湧もこんな顔をして笑うんだ。私は≪人は見かけによらない≫と思った。
「ごめん。なんか私湧のこと、勘違いしてた・・・。」
湧はビックリした顔で、私に聞き返してくる。
「何で?ていうか、何が?」
ニコニコした湧の顔が私の顔を覗き込んでいる。
「私、てっきり湧ってチャライのかと思ってた。」
「そんなわけないだろ。つーか、俺、チャラ男じゃねーし(笑)」
2人が笑っているとチャイムが鳴りいびいた。
「あっいっけね~もう授業だ。俺じゃあ行くから・・・―――――――早く良くなるといいな。大人しく寝てるんだぞっ(笑)」
と言ってベッドを離れた。そして、ドアを開けるとき、
「じゃあな~」
と言い、手を軽く振って優しくドアを閉めて行った。