「・・・でも、 本当の自分がいなくなった。」 「―――え?」 「自分の本心とか、考えとか、思い、みたいなのがなくなった。 いや、あるんだろうけど、出すことができなくなったんだ。 偽ってる自分が本当の自分みたいになって。 どれが本当の自分なんだかわからない。」 「・・・だから… 柘植さんの言葉はセリフみたいなんですか・・?」 柘植さんは少し目を細めて笑った。