「――― …そう、です。 彼氏も家もお金も親も・・ なにもかも失いました・・」 しぼりだすように言った言葉。 まだ現実として受け入れられずにいた。 ツゲさんは、やっぱり優しく少し微笑みながらわたしを見ていた。 ―――と、ツゲさんの手がわたしのボサボサの頭を撫で、 「辛かったね。」 そう小さくつぶやいた。 その瞬間、なぜだかわからないけれど涙が溢れだし、止まらなかった。