呆然と立ち尽くすわたしに


「いろいろ助かったよ。サンキュ。
このまま、地元に帰って。バイバイ。」


聞いたことない冷えきった彼の声。


「部屋の鍵、返してね。」


わたしのコートのポケットから財布を出すと、カードキーとお札を全て取り出す彼。


まったく理解できず、彼にしがみつき、すがった。


泣いて泣いて、お願いだから一緒にいて、と叫んで懇願したけれど、彼はわたしを冷めきった目で睨み、置いていった。