「い、いただきます。」 「ど―ぞ。」 ひとくち、コーヒーを飲む。 ミルクと砂糖たっぷりでわたし好みのコーヒー。 「・・おいしぃ…」 「やっと、ちゃんと見てくれたね。」 「―――え?」 「ずっと下向いてばっかりだし。見たとしてもすぐに目、そらすし。」 「…ごめんなさい。」 「いや、謝らないで。あんな出会い方だったし、仕方ないね。」 「・・・」 「柘植拓人。」 「え?」 「名前、まだ言ってなかったから。」 「・・ツゲ、タクト…さん。」