「どう?

見つかった?」

学園長とクリスが部屋を訪ねる。

「いえ。

見つかりませんでした。

学園は全部探しました。

寮も男女全ての部屋を確かめさせてもらいました。」


「そう。

私も魔法を使ってみたけど、この学園全体で魔法が使えないみたいね。」

「はい。

ですからクリス、シショーのお役に立てません。」


「今は幸大君が唯一、魔力を使えるってこと。

私も幸大君並の魔力があったら良いんだけど。」

「…。」
「…。」
「…。」


部屋に沈黙が流れる。

「俺の部屋に沈黙が流れる日が来るとは思いませんでした。」

「そうね。」

「もう、皆、私達のせいで…」


「クリス、お前は俺の役に立ちたいんだよな?」

「はい!」

「だったら、今週中に御茶、コーヒー、紅茶の補充。

それからお茶菓子も買いだめしたいんだけど、頼めるか?」

「え?」

「今週中に、また騒がしくなるからさ。」

「シショー!

もしかして、」

「幸大君が動いても今の私じゃ力になれそうもないわ。」

「いえ、学園長にはすでに、石動の書類の受理と狭山先生に関して、

充分やってもらいましたから。」


「幸大君、今の二つにさらに追加。」

「追加?」

「神宮寺さんの分も、手を回したわ。」

「ありがとうございます。」

「私にここまでさせたんだから、高いわよ?」

「出世払いで。」

「その必要はないわ。

体で払ってもらうから。」