「これで、クリスの、勝ち」

クリスが日本語を喋る。

「え?」

「私がクリスに魔法の指輪をあげたのよ。」

「それにしては、流暢とは言いがたいですね。」

「魔力が指輪を動かすの。

魔力が元々少ないクリスに負担をかけない量を一定量吸い取ってるからね。」

「シショー、助けてくれて、ありがと。」

「怪我はないか?」

「はい。」



「あれ、幸大?

英語解るの?」

亜紀達が現れた。

「英語?

クリスは今、日本語だっただろ?」


「英語でしたよ、お兄さん。」


「…。

クリス、何か話してくれ。」

「良いですよ。

シショーの魔法はスゴいです。

高く跳ぶし、壁は壊すし、ロープもブチィって切っちゃうし。」


「お前ら、今のは英語か?」


「英語かって聞くなど、頭がおかしくなりまして?」

「良いから、答えてくれ。」

「英語でしたよ、先生。」

石動が答える。

「…ってことは、学園長、種明かししてくれますか?」


「良いわ。

クリスにあげたのはイクシードランゲージ。

結構、有名な道具よ。


一人にしか伝わらない翻訳機よ。

伝えたい、という気持ちに反応するの。」

「伝えたい、ですか。」