「お兄さん、お姉ちゃん、何してるんですか?」

奈都と石動がやって来た。


「魔法の練習だ。

今からやるんだけどな。」


「そう言えば、見事な桜だったわね。」

亜紀が言う。


「まぁ、ネーミングセンスは悪いと思いましたわ。」

神宮寺が言う。


「良いんだよ、べつに。」

「先生、あそこに飾ったんですね。」

寮のガラス張りの詰所を指差し石動が言う。


「ああ、どうせだからな。

奈都のも石動のも綺麗だから飾った方が良いと思ってな。

さて、俺は練習するから邪魔すんなよ。」


「見てても良いですか、お兄さん?」


「良いけど、近づくなよ。」


全員が少し、離れる。


幸大はブレスレットをはめると手が光る。


「集中、集中。」


光が強くなる。


「これ以上、光らないな。」


光をキープし続けるが発展はしない。


「力を込めるだけじゃダメよ。」

「学園長。」

「続けて。」

「はい。」


「イメージして。

血液が良いわね。

貴方の体の隅々まで流れている血液が体を巡るの。

それは、貴方の手に集まるの。」

学園長が幸大の背中に触れる。


「ここにある血が、肩を通って。

肘を通って、手に集まるの。」

そう言いながら幸大の体を撫でる。