生徒達は驚きを隠せない。


「この桜を東大に合格する桜と同じ名前で、

ドラゴ…もがっ!」


学園長の口を幸大が塞ぐ。

「何を言おうとしてるんですか。

そもそも、そんなご利益はこの桜にありません。」

「そう?

言いたかったのに。」

「でも、名前はあった方がいいですよ。」

石動が桜を見ながら言う。


「ここはお兄さんがつけるべきですよ。」

「じゃあ、

中庭に高く聳<そび>え立ってる大きな桜。


この桜の名前は

摩天楼だ!」

「摩天楼って、超高層ビルじゃない?」

「摩天楼って桜って文字が、」

「桜じゃないわよ?」

「…。

学園長、そんな連続で突っ込まないでくださいよ。


とにかく、この桜の名前は摩天楼!」


「まぁ、良いわ。

後で名前書く立て札を持ってくるわ。」


チャイムがなる。


「よし、お前らブレスレットを返したら教室に戻って良いぞ。」


「摩天楼、って名前、僕はかっこいいと思いますよ。」

石動が言う。


「お兄さんらしい良い名前です。」

奈都も言う。


「お前ら、良い奴だな。」