「聞いてほしいのか?」


「いえ、珍しいと思って。」

「じゃあ、聞きたい。」

「面白くないですよ?」

「ただの趣味か?」

「違います。

家は格式が高くて、学校も名門の場所に通わされました。

それが嫌で、

そしたら親がこの学園に通う条件付けをしました。」

「それが男で学園に通うこと、か。」

「はい。

バレましたけど。」


「学園長ってこのこと知ってんのか?」

「はい。

学園長は承諾してくれました。」

「だろうな。」

「先生は秘密にしてくれます?」

「まぁ、石動が女でも男でもどっちでもいいしな。

べつに言わねぇよ。」

「ありがとうございます。」


「でも、脅しに使うかもな。」


「…それは…穏便に済ませたいと思います。」


「それから、条件が男装なだけで、べつにバレたらいけないって言われたのか?」


「…あ、

言われてません。」


「まぁ、バレないに越したことはないだろ。

じゃあ、気をつけて帰れよ。」

「はい。

ありがとうございます。」