「おや?

これは、不思議ですね。


獲物が大漁とは。」


「敵は五人か。」

幸大が言う。


「てめぇ、さっきはよくも!」

「たしか、涼の婚約者だっけ?」


「じゃあ、俺のことは覚えてるか?」

黒く焦げた髪の男がいた。


「見たことないな。」

「てめぇが爆発させた相手だぞ!」

「別にあそこ煙幕だったし。」

「落ち着きなさい。」


真ん中の男が制止する。


「見たところ、貴方は魔力を回復していませんね。」

「だから、どうした?」


「一対一なんて礼儀正しいことはしません。

良いのですか?」


周りの四人の男が人狼になる。


「お前らこそ、五人で俺を倒せるのか?」

「…いいでしょう。」

男も狼に姿を変える。


「お前ら、グラウンドに行け。

必ず誰かとだ。」


「幸大君はどうするの?」


「二手にバラけないとな!」


バシュゥゥ、

最後の一本の消火器を噴射する。



「後でな!」

幸大が走り去る。


「私達も行きましょ!

神宮寺さん達も!!」


亜紀の指示でグラウンドに行く。


中庭、摩天楼

「摩天楼。

お前の力を貸してくれ!」



「そこか!」

人狼が走ってくる。

「<摩天楼・桜吹雪>」


人狼の視界を花びらがおおった。


「いたか!?」

人狼が集まる。


「いや、見失った。

だが、二度と今の目隠しは使えまい。

桜が枯れている。」