「幸大君、早く乗って。」

学園長が促す。

「あれ?

他の追手はどうしたんですか?」


「そこら辺で倒れてるわ。

それより、行きましょう?」


幸大が荷台に乗る。

「あ、学園長。

火を消しといてください。」


「仕方ないわね〜。」


バシャッ、

火のある場所にまるでバケツを逆さにしたかのような勢いで大量の水が降り注いだ。


「これで良いかしら?」


「ええ、ありがとうございます。」


「岡田先生、石動さんも助けたんですね。」

狭山が言う。




「ああ。

学園長にクリスに亜紀に奈都に石動に狭山先生。」


「岡田先生!

その、私もこれを機会に下の名前で、」

狭山が言う。


「えっと、優子、?」

「はい!」



狭山が満面の笑みになる。



「先生!

私も!」

石動が身を乗り出す。


「…涼。」


「…。」


石動は顔を赤くして俯く。


「あら?

私は幸大君に名前どころか名字も呼ばれて無いわよ?」


「え〜と、オウカ?」


「な〜に?」


むぎゅっ、

学園長が後ろから抱きつく。


「ちょっと、学園長!」


「オ・ウ・カ、でしょ?」


「あのね幸大、荷台で騒がないでよ。」