二人が消火器を使いきる頃には辺り一面が真っ白だった。

「よし、亜紀、狭山先生、外にでて、トラックに乗ってください。

速く!」


「わかりました。」

「幸大も早く来なさいよ?」


幸大は出口から二人が出たのを確認した。



「お前ら全員人狼だな?」

「だったら何だ!」

「俺の持ってる発炎筒。

これ、結構新しいタイプでな。

一度使用しても、使いきる前に火を消したら、

また、残りの分を使えんだよ。」


「これだけ消火器で視界をおおって、さらに煙幕か?」


「お前らがもう少し冷静なら気づいただろうな。」


「何のことだ?」

「この視界を覆う粉塵が消火器だけじゃないってことだ。」

「一体、何をした!」


「小麦粉が入ってる。」

「小麦粉?」


「ああ。

空気中に可燃性の細かい粒子が入るとちょっとした火花でも連鎖的に燃え広がり爆発を起こす。


粉塵爆弾。

昔はよく炭鉱事故の原因だったけど、今じゃ知らない奴の方が多いのか?」

幸大が発炎筒を構えて外に出る。

「止めろ!」


「ちなみに、消火器から出る粉塵は火に噴射しなければ効果は得られない。


いくら消火器の粉が舞っていても、爆発を抑えることはできねぇ、ぜ!」


発炎筒に火を点け、煙の中に投げ入れた。


ドゴォンッ、


轟音と共に火が立ち上る。