食後

「じゃあ、私は帰るわ。」

「そう言えば、学園長の家ってどこですか?」

「学園長室よ。

あそこにドアがあったでしょ?

あそこが私の家よ。

じゃあね。」


「学園長とは仲がよろしいんですわね。」

「あんな性格だからな。

親しくもなるさ。」

「それより、何故私をかばったんですの?」

「ああ、アレは癖だ。」

「癖?」

「どうも、教師って職種に問い詰められると言い訳が咄嗟に出るんだよ。

自分が悪くなくても。

まぁ、それで余計にややこしくなったりするけどな。」

「言い訳を癖になるほどしなければいけない状況など普通はありませんわ。」

「とにかく、寮長よろしく。」

「それ、本気でしたの?」

「ああ。」

「私はやりませんわ。」

「学園長にそう言っただろ。

しかも、寮長の決定権は俺にあるし、拒否権は正当な理由以外は認められない。

で、正当な理由はあるか?」


「く…、解りましたわ。

その代わり、貸し借りは無しですわ。」

「ああ。

さて、じゃあおやすみ。」

「お待ちなさい、私を寮にお入れなさい。」

「めんどくせぇなぁ。

ちょっと待ってろ。」



幸大は詰め所に行く。


「そこの機械に生徒手帳をかざしてから手を置け。」

「こうですの?」

自動ドアが開いた。

「やっと入れましたわ。

それから、今日のこと、一応は感謝しますわ。」