「指紋登録をしてないからな。」

「どうすればできますの?」

「俺が機械を操作したら。」

「早くしてくれます?」

「書類を提出しろ。」

「嫌です。」

「そうか。

じゃあ、俺は飯でも食いに、」

「生徒をおいていきますの?」

「食堂は8時以降は教師以外使えない。

ってことは当直の先生くらいいるかもな?」

「それがどうかしましたの?」

「ここに連れて来ようか?」

「な!」


「幸大君、いるかしら?」

「学園長。」

「あら?

この子は?」

「初めまして学園長。

神宮寺、呉羽<くれは>と申しますわ。」

「これは御丁寧に、どうも。

で、門限破りかしら?

門限破りは当直の先生に書類をもらって来てね。

まぁ、明日の放課後にめんどくさいお説教だけど。」

「いえ、その、」

「俺がこいつを女子の寮長に任命したんです。

そしたらこいつがごねて、しばらく議論をしてたんです。」

「あら?そうなの?

明日で良かったのに。」

「早く飯にしたかったのにこいつがギリギリ8時に来たから仕返しです。」

「そう。

ずっと議論をしてたってことは夕食はまだね?」


「確かにまだですわ。」

「本当は幸大君を誘いに来たのだけれど、貴女もどう?」


「ですが、」

幸大を見る。

「これから寮長をやってもらうしな、俺がおごってやる。」

「私もかしら?」

「学園長は俺より金持ってますよね?

まぁ、良いですけど。」