「…え…。」


ん?


「冴、時間だ。
起きろ。」


重たい瞼を開け
焦点の定まらない視界に入ってきたのは
キャラメル色の髪


そして
思わず鳥肌が立つくらい
冷たい指先が
頬を滑って行く


「ん…修二…?」


クスクス
「寝ぼけてるのか?
ほら、急がないと本当に遅刻するぞ。」


すがすがしい朝には
似つかわしくない
妖艶で美しく
冷たい声に


私は
大きく体を伸ばし
起き上がった



「おはよう。」


「おはよう。」


挨拶をすると
そっと頬に冷たい唇が落ちる


そして
私の髪に顔をうずめて
修二は大きく息を吸い込んだ


彼曰く
私の香がたまらなく好きらしい