泣き虫Memories

おじいさんの笑顔が、一瞬凍ったかに見えた。


でも、おじいさんは僕がこう聞くことを分かっていたのだろうか。
すぐに元の笑顔に戻って、
『ごめんね、おじさんは知らないんだ。・・・じゃあね。僕。』
そう言うと、少し申し訳なさそうな顔をして、すっと気まずそうに部屋から出ていってしまった。


おじいさんは、何も教えてくれなかった。
何も知らないと、ただそれだけ。

僕は、このままふたりが帰ってくるのを待つことしかできないんだ。
ひとりで、この真っ白な部屋で。

ごろんとベッドに横になる。ふんわり柔らかい真っ白な布団を頭までかぶると、急にまぶたが重くなった。
いろんなことを考えて不安になる位なら、寝てしまった方がいいのかもしれない・・・。


結局、悩む暇もないまま僕は眠ってしまった。
きっと明日の朝には、パパもママも帰ってきて、『おはよう。』
そう言ってくれるはずだ・・・。






次の日の朝。
僕が誰かに起こされることはなかった。