「別に咎めはしない。俺は今、機嫌がいいからな。


お前も顔を上げて見ろ。」



「はい?」



言葉の意味を理解していないのか、間抜けな声の返事が返って来た。



青年がおそるおそる顔を上げると、驚愕の表情に変わった。


「こっこっこっこっの方は……。」


後は言葉にならない様子で口をパクパクとしていた。




「あぁ、やっと見つけた。」


この腕の中にいる。


「龍樹様がついに戻って来られたぞーーー!!!!」




青年はそう叫びながら宮へ走っていった。



「俺も戻って来たんだけどな。」



口元には、笑みが浮かんでいた。