その小さな呟きは、兄者の耳に届いたか分からない。でも、兄者は私をしっかりと見た。 「そんなにあっちがいいのか?龍樹?」 龍轍に「龍樹」と呼ばれる度に自分自身の奥深いところで軋みをあげて動き出してる。 「お前もいっしょに帰りたいよなぁ。共に暮らし、戯れたあの宮へ。」 「…み……や……?」 頭の痛みは酷くなる。 龍轍の腕の中で頭を押さえる。 ここで気を失ったら相手の思う壺だ。意識を保たないと。 私は忘れている?