苦しみの(涙)




「子犬……。いや小兎か?」


「龍轍?」


はっと我に返る。



目の前には龍樹が首を傾げてこちらを見上げていた。


上目遣いにあの首を傾げる仕草は………犯罪だろ……。




「ほら、行くぞ。」


いろいろな感情を押し込めて、手を差し出すがいっこうに握ろうとしない。



「どうした?行くぞ。」



「えっ……と……そ…の……。」



なにやらもじもじして歯切れの悪い言葉を繰り返す。



「……?」



もしかして、恥ずかしがってる?



「かわいいやつめ」

龍樹には聞こえないくらいの声で呟いた。