そして、しぶしぶ機嫌が斜めになった龍轍に向き合うことになった。



「お前はとんだお邪魔虫だな。


そんなに俺と龍樹の仲を裂きたいか?」

「人を間男みたいに言わないでください。」



人前で甘い展開に持ち込もうとしていた人に言われたくはない台詞だ。




「さぁさぁもう行きますよ。


宴の準備万端ですから。」



「そういえば……。


龍樹はどこに行った?」


脱兎のごとく逃げて行ったために追いかけるのを忘れていた。



「先に宴の席に行かれたのでは?」


「う~ん。そうだといいんだが。」



龍樹様のことになるとがらりと人が変わる。


まぁ昔からなのだが。





「捜しに行ってくる。」


「はいはい、どうぞ。」



あれぐらいの熱心さを仕事にも注いでほしいものだな。





龍樹様を捜しに行く龍轍の背を何度も見てきたが、今の龍轍からは焦りといっしょに幸福というか幸せがにじみ出ていた。