「……はぁ……」
「よう南野! 元気ないな、こんなんではスキヤキはゲット出来ないぞ!」
「わ、委員長」
いつのまにかさっきの子はいなくなっていて、代わりに委員長がいた。
「ん? なんだ、恋する乙女か?」
「そ、そんなんじゃ……」
もっと深刻な悩みなんだけどなぁ……。
とはいってもわたしは悪いんだけど……。
「聞いてるぞ? 今日正俊と文化祭デートだそうだな?」
「……? 正俊って……」
「おいおい、告白されたのに知らないのか? 下の名前だよ、綾三月正俊」
「あ、綾三月先輩!?」
し、知らなかった……。
「というより、なぜ呼び捨て?」
そう委員長に聞くと、委員長は寂しそうな微笑みを浮かべた。
「……幼なじみってやつだよ。家が近所で、よく遊んでもらってた」
「…………あ……」
わたしは気づいてしまった。
委員長が、綾三月先輩のことが好きだということ。
「わたし……」
委員長のこと、知らない間に傷つけてたかもしれない。
しかし委員長は笑っていた。
「アイツのことだし、大方南野に一目惚れだろうな」
「えッ!!? なんで」
「だってアイツさ……」

