自分が少なくとも周りの人間よりもツイてる、と意識したのは中ニあたりの頃だった。

さすがに初詣で十四回目のおみくじを引き、それが十四回目の大吉だったら自分はツイている、と意識せざるを得なかった。

確かに今思えば俺はどことなく他人よりラッキー、幸運だった。まず懸賞に応募すれば、大体は当たった。抽選で二名に当たる液晶テレビが当たったこともある。あれ以来家族はしきりに俺に懸賞へ手紙を出させようとするが、気が向かないので大概断る。

友人と遠出して、あるショッピングモールに行った時に来店百万人目になったこともあった。新聞にも載ったし、地方のテレビにもうつったらしい。これは高一の時である。

そして日常的なものをあげれば、やたらと財布を拾う。自動販売機でお釣りが残っていることもしょっちゅうだった。わざと誰かがやっているのでは、と思うくらいしょっちゅうなのである。

ちなみにそれを自分の懐に入れたことは無く、財布は交番へ、お釣りは自販機の設置している店の店員へ律義に返すのだった。

そのおかげで交番の警察官からは

「また拾ったのかい?」

と、笑顔で言われるようにまでなっていた。