「何で…」




こうして、シオリを抱きしめられるのも。




俺の中に、ある感情が芽生えたからではないか…と。




「…ごめんな」




怖い思いさせてごめん。




震えているシオリが、泣きだした。




…シオリが幽霊であることを忘れてしまう。




シオリが生きていたら良かったのに。




生きていたら、俺はきっと…。




ふとそんなことを思う自分に、驚いた。




分かっている。




この感情を持つことは、許されることではない。





それでも、もう戻れない。