「もう真っ暗だね」
「………」
なぜか、散歩を始めた俺達。
用事があると言っていたはずの圭が来て、訳の分からないことを言いだした。
街を歩いてシオリの記憶が戻るのなら、簡単なことだ。
でも実際はそうじゃないから、シオリは今も思い出せていない訳だろ。
…圭にそんなこと言っても無駄だから言わねーけど。
「じゃ、散歩開始!」
俺が機嫌悪いのを気にして、シオリが視線を送って来る。
圭は特に変わらず。
もう慣れたから、心配することでもないんだけどな。
シオリにとって、圭は安心できる人みたいだし。
圭の性格はやっぱり嫌いになれない。
…不思議だよな。