そう言った俺に、シオリは笑う。 その瞬間、俺はよく分からない感情に襲われた。 「諦めないで良かった…」 長い髪が、廊下を吹き抜けた風に靡く。 「っ」 どくんと大きな音を立てた心臓。 …それが“恋”だと気付いたのは、まだ先のこと。