「爽麻…」




今にも泣きだしそうなシオリを抱きしめる。




だけど抱きしめることすらできなかった。




触れられない。




それでも俺は、シオリの周りに腕を回した。




「爽麻…」




「ん?」




「ありがとう」




笑顔でそう言うシオリ。




「こちらこそ」




「あたし…爽麻に会えて良かったよ」




「俺も」




俺も、会えて良かったと思ってる。