F.L―extra―

保健室に入ったら、椅子ではなくてベットに座らされた。

やけに念入りに消毒やらアイシングやらテーピングやらをされて、やっとそれが終わったと思ったら…



「関くんって本当整った顔してるのね。髪も瞳も肌も、すごく綺麗…」



やけにうっとりとした視線と共に、“優美ちゃん”はそう言った。
言いながら、“優美ちゃん”の手は俺の鎖骨のあたりを撫でいる。


…鳥肌がたつ



「…俺、授業行くから」


急いでその場を離れようとした。


「ねぇ、もしかして関くんって童貞?」


立ち上がった俺を引き留めるように、“優美ちゃん”は言う。


何を言いだすんだよ、この女…



ヤバい…

この女、イカれてる…



「あれ?もしかして、照れてる?」

「…知らねーよ。あんた……っ!?」









…キスされた






出口を目指し、足を早めようとした瞬間だったから避けることも出来なかった…




「続きはまた今度ね」



笑いながら言われて、返す言葉もなく、俺は保健室を後にした。










「…っ」



自分の唇を何回も水で擦る

「…何だよ…これ」






あいつの紅いルージュが


何度洗っても落ちない…